[最終更新日]: 2025/02/13
赤ちゃんや幼児は、よだれが多く出ても問題がないケースがほとんどです。しかし、口呼吸になると歯並びにも影響してしまうため、なるべく早いうちに対策していく必要があります。ここでは、子供のよだれが多い原因やよだれを抑えていく対策についてご紹介していきます。
子供のよだれは対処したほうが良い?
一般的に、赤ちゃんや2歳くらいの小さな子供の場合、よだれが多く出るのは自然なことです。離乳食が開始となる生後5~7か月くらいの間は、よだれがの量が多く出るようになりますが、成長とともに少しずつ減り、2歳くらいには止まるケースが多いです。
よだれが出なくなる時期や年齢には個人差があるため、同じ年齢であっても、ほとんど止まっている場合もあれば、量が多い子どももいます。よだれが多くても、大きな心配がないケースがほとんどです。
小さな子どもでよだれが多い原因は、まだ歯がないため、口周りの筋肉が発達しておらず、唾液を飲み込めないためです。
よだれは、洗浄作用や抗菌作用、緩衝作用などさまざまなメリットがあります。しかし、子供がポカン口や口呼吸となり、よだれが多く出てしまう場合は、歯並びや健康上でもさまざまなリスクがあるため、なるべく早めに対処する必要があります。
そもそもよだれの役割は?
よだれには、さまざまな役割があります。
- 洗浄作用:食べかすや虫歯菌を洗い流す
- 緩衝作用:食後、細菌が炭水化物を代謝し、算出された酸を中和し脱灰を防ぐ
- 抗菌作用:唾液中に含まれるさまざまな抗菌物質により細菌の発育をおさえる
- 免疫作用:唾液中に含まれる免疫物質が虫歯に対して防御する働き
1日に分泌される唾液の量は、成人で約1~1.5L、乳幼児は約120~150mLです。成人は無意識のうちに唾液を飲み込めます。しかし、赤ちゃんの場合は、飲み込む力がほとんどないため流れ出てしまうのは仕方のないことです。
幼児のよだれが良く出る原因は?
幼児のよだれがよく出る原因には、どのようなものが挙げられるのでしょうか。口周囲や消化機能に関する筋肉が未発達なことが原因なほか、歯が生えはじめている兆候の場合があります。ここでは、幼児のよだれがよく出る原因について詳しく解説します。
口周りの筋肉が発達してないから
幼児の場合、口の周囲の筋肉がきちんと発達しておらず、成長している段階にあるので、唾液をうまく飲み込めません。そのため、多くのよだれが流れ出てしまいます。しかし、離乳食が始まり、舌を上下に動かしながら食べたり、唇を閉じて飲み込んだりできるようになると、自然によだれの量も減っていきます。
消化機能が未発達だから
生後4か月くらいまでの赤ちゃんは、消化機能が未熟なためミルクしか飲めません。しかし、よだれがたくさん出てくる場合、消化機能が発達してきているサインです。赤ちゃんによって個人差もありますが、よだれが出やすい時期になると、離乳食を開始する目安になります。
歯が生え始めているサインだから
よだれの量が増えるのは、子供の歯が生え始めている兆候とも考えられています。歯が生えることで口の中に刺激が加わり、舌やあごの動きが活発になるため、よだれの分泌がさらに増えるのが特徴です。口を閉じて飲み込む力がつくと、よだれの量はだんだん減っていくとされています。2~3歳くらいであれば大きな心配はありません。
※時期には個人差があります。
口の中が炎症しているから
口内炎などで口腔内に炎症が生じると、乳幼児は口周りの筋肉が十分に発達していないため、うまく口を閉じられずよだれが増えることがあります。病気や体調不良ではないのに口腔内や舌に炎症が見られる場合、感染症による扁桃腺の腫れが原因の可能性があります。早めに受診することが大切です。
よだれを抑えるには?
子どものよだれが多い場合は、口周りを刺激して筋肉を鍛えることで、よだれの分泌を抑えやすくなります。最近では、口周囲の筋肉を活発に動かせるおしゃぶりやラッパなどのアイテムがさまざま販売されています。そのようなグッズを使ってあごや舌に刺激を与えることで、よだれの防止につながるでしょう。
口が開いてよだれを垂らしている場合は要注意
乳幼児のよだれが多いのは、成長過程の1つでもあり自然な現象のため心配はありません。しかし、口を開いてよだれを垂らしている状態の場合は注意が必要です。赤ちゃんは母乳を飲む際、鼻で呼吸をしています。その後、離乳食が始まると肺が発達し、口呼吸もできるようになり、次第に鼻呼吸と口呼吸を使い分けるようになります。
しかし、以下のような理由によって、口呼吸が習慣化してしまうケースがあるため注意しなければなりません。
- アレルギー性鼻炎
- 慢性副鼻腔炎
- アデノイド肥大や口蓋扁桃肥大
上記の症状があると、くしゃみや鼻水、鼻づまりが見られやすくなります。口が開いた状態となり、口呼吸が習慣化してしまうため、早めに受診して治療を受けるようにしましょう。
口呼吸による影響は?
口呼吸が習慣化してしまうと、見た目の印象がよくないだけでなく、口腔内や全身にさまざまな悪影響を及ぼすこともあります。
- 歯並びが悪くなる
- 口内炎や虫歯につながる
- 風邪を引きやすくなる
- 集中力低下
- 睡眠の質が低下
- 口臭が強くなる
口呼吸から鼻呼吸へ早めの対策を
口呼吸から鼻呼吸へするには、どのような対策が必要なのでしょうか。生活習慣を見直したり、口呼吸のトレーニングをしたりなど、さまざまな方法があります。ここでは、対策について解説しています。
生活習慣の見直し
幼児の場合、生活習慣の見直しも有効です。以下のポイントをご覧ください。
- 3歳になったら、指しゃぶりをやめさせるようにする
- 鼻詰まりや鼻水に気を付ける
- 爪や唇を噛んでしまうクセを直す
- きちんと口を閉じるようにする
口呼吸のトレーニング
幼児は口呼吸から鼻呼吸へ改善できる可能性があるため、口呼吸を防ぐトレーニングを取り入れることが重要です。
そのほかには、鼻呼吸テープを取り入れる方法もあります。鼻呼吸テープとは、鼻呼吸への切り替えをサポートしてくれるテープのことで、薬局でも購入可能です。使用を迷う場合、耳鼻科や歯科クリニックで相談してから使ってみましょう。
口呼吸から鼻呼吸へ習慣づけるポイントは?
口呼吸から鼻呼吸へ習慣づけるためには、食べ物をしっかり咀嚼する・鼻呼吸のトレーニングなどを行うことが重要です。ここでは、習慣づけるポイントについてご紹介していきます。
食べ物をよく噛むように促す
子どもは食べものをしっかり咀嚼して、舌・唇・あごなどを動かすことにより、口周りの筋肉が発達していきます。そのような状態になると、口を閉じていられるようになり、自然に鼻呼吸ができるようになります。
離乳食は、おかゆから始めて徐々に固いものを増やしていきますが、離乳食後期や完了期を迎える1歳頃には、しっかり咀嚼する習慣を身につけることが重要です。
やわらかい食事だけでは口の周りの筋肉が鍛えられないため、年齢を考えながら、噛みごたえのある食品を食事メニューに取り入れるようにしましょう。あごの発育なども考えつつ「よく噛む習慣」をつくっていくようにしてください。
鼻呼吸トレーニングの実施
自宅でてきる鼻呼吸トレーニング「あいうべ体操」をご紹介します。
- 「あー」と口を大きく開けた後、「いー」と口を大きく横に広げます。
- つぎに、「うー」と口を前に強く突き出して、「ベー」と舌を突き出しながら下へ伸ばすようにしましょう。 ※上記を1セットとして、毎日30セットを目安に行います。
舌や口周りの筋肉へ刺激を与えると、あごの成長を促し、口呼吸から鼻呼吸へ改善を目指せます。
小児歯科・耳鼻科への相談
口呼吸となった原因は、子どもによってさまざまです。風邪を引いて一時的に口呼吸になったケースでは問題はありません。しかし、口呼吸が習慣化している場合は、小児科や耳鼻科、歯科医院などを受診し、原因を解明した上で治療を受けることが重要です。
歯並びが悪いことが原因で、口呼吸になってしまった場合は、矯正装置をしながら鼻呼吸へ改善するトレーニングをすると、歯並びの改善が期待できます。
口呼吸がクセになってしまっている子どもの場合、無意識でやっていることが多く、無理にやめさせるとストレスになる可能性があります。まずは、受診して相談することが大切です。
子供のよだれや歯並びで心配なことがある方は歯科クリニックを受診しましょう
幼児でよだれが多く見られるのは、成長過程において自然な現象のためそれほど心配はありませんが、口が開いたままよだれを垂らしている場合は注意が必要です。アレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎があると、くしゃみや鼻水、鼻づまりが起こりやすくなり、口が開いた状態が続いて口呼吸が習慣化することがあります。そのため、早めに耳鼻科を受診し適切な治療を受けることが大切です。
また、小児専門の歯科クリニックではMRC矯正を行っているところもあるので、子供の歯並びで心配なことがある方は受診を検討しましょう。当サイトでは、全国の歯科矯正クリニックを紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。