[最終更新日]: 2025/02/27
子供の歯が生え変わる時期に、待ちに待った永久歯が生えてきたと思ったら、「黄ばんでいるように見える」と感じることがあります。 せっかくの成長を喜んでいたのに、「これって異常?」「何かの病気かも…」と不安になる親御さんも多いでしょう。これにはさまざまな理由があり、まったく心配のないものや、治療が必要になるケースまであります。今回は、子供の永久歯が乳歯より黄ばんでいることについて、詳しく解説していきます。
子供の永久歯の黄ばみは虫歯?
一般的に生えたばかりの永久歯は、乳歯と比較すると、黄色や茶色っぽく見えることがあります。これは正常な色であり、虫歯ではないため、特に心配することはありません。
生えたばかりの永久歯が黄色っぽく見える理由は?
永久歯と乳歯を比較すると、色が違うことがあります。これは、歯の構造の違いと、乳歯との対比による錯覚が主な原因です。
ここでは、その原因などを詳しく解説していきます。
象牙質の色によるもの
永久歯は、乳歯に比べてサイズが大きく、黄色味がかっており、透明感が少ないのが特徴です。永久歯の構造は、外側からエナメル質、象牙質、歯髄の3つの層で構成されています。エナメル質は白くて硬い組織ですが、その内側の象牙質は黄色みを帯びています。生え始めたばかりの永久歯は、まだエナメル質が薄いため、中の象牙質が透けて見えて、黄色く見えるのです。
また、永久歯は乳歯よりもエナメル質が厚く、丈夫なため、外部からの刺激に強くなっています。一方、乳歯は永久歯に比べてサイズが小さく、白く、透明感があります。これは、乳歯が永久歯が生え変わるまでの間、顎の骨の成長を促すための役割を担っているため、比較的短期間で交換されるという性質と関係しています。乳歯はエナメル質が薄く、象牙質も永久歯に比べて軟らかいことから、むし歯になりやすいという特徴もあります。
目の錯覚によるもの
永久歯が黄色く見えるのは、歯の構造だけでなく、視覚的な要素も大きく影響しています。白みがかった乳歯に見慣れていると、新しく生えた黄色みがかった永久歯との色の差が強調され、実際よりも黄色く感じることがあります。これは一種の「目の錯覚」と言えるでしょう。特に、永久歯と乳歯が同時に口の中に存在する生え変わり時期は、この色の差が顕著になり、親御さんは子どもの歯の色を気にされるケースが多いようです。しかし、永久歯が増えてくると、全体的に歯の色味が統一されてくるため、個々の歯の色への違和感は軽減されていきます。また、歯の色は遺伝的な要素も大きく、人それぞれに生まれつき異なる色合いを持っています。歯科医院で歯の色を選ぶ際に参照するシェードガイドを見ても、実に多様な色合いが存在することがわかります。これは、歯を構成するエナメル質、象牙質、歯髄の厚さや成分が人によって異なるためです。つまり、歯の色は、生まれつきの遺伝的な要素や、歯の構造、そして視覚的な要素が複雑に絡み合って決まるものであり、一概に「黄色い」と断言することは難しいのです。
エナメル質形成不全によるもの
子供の永久歯が著しく黄色く、または茶色っぽく変色している場合は、エナメル質形成不全という可能性も考えられます。エナメル質形成不全は、遺伝的な要因や歯の発育段階での外傷などが原因で、歯の表面を覆うエナメル質が正常に形成されない状態です。エナメル質は歯を保護する大切な役割を担っているため、この状態になると歯が弱くなり、虫歯などになりやすくなります。軽度の場合は、丁寧なブラッシングと定期的な歯科検診で様子を見ることもできますが、重度の場合は、歯の表面を覆う被せ物などによる補強が必要となる場合もあります。エナメル質形成不全かどうかを診断するには、小児歯科を受診し、専門医による検査を受けることがおすすめです。治療は、保存修復科や補綴科など、専門的な知識と技術を持つ歯科医師が行います。
永久歯が生えたら気をつけることは?
一般的に、子どもの永久歯が乳歯に比べて黄色く見えるのは、歯の構造や生え変わり時期の特性によるもので、多くの場合、特に問題はありません。ここからは、子どもの歯を健康に保ち、より美しい歯へと導くための、永久歯が生えたら気をつけることについてご紹介します。
食後の歯磨きの徹底
子どもの歯を白く美しく保つためには、食後の歯磨きが大切です。食べ物が歯に付着したまま長時間放置すると、歯の表面に色がつき、黄ばみの原因となります。小さなお子様は、まだ自分でしっかりと歯磨きができないため、保護者の方が仕上げ磨きをしてあげる必要があります。この際、歯の表面のエナメル質はまだ薄くデリケートなため、優しく丁寧に磨くことが大切です。毎日の歯磨きを習慣にすることで、歯を虫歯から守り、健康な口腔環境を育むことができます。
歯や歯茎を強くする食事
食事に牛乳やチーズ、ヨーグルトなどの乳製品や小魚といったカルシウム豊富な食品を摂り入ることで歯や歯茎を強くする事ができます。おやつにはキシリトール入りのガムやリンゴなどの果物を食べることで、虫歯予防に繋がります。しかし、チョコレートやジュース、ケチャップなどの色が濃い食品は、歯に色素がつきやすく歯の黄ばみの原因となります。食後は必ず歯磨きを行い、歯の表面に汚れが残らないようにしましょう。特に、色が濃い食品を食べた後は、丁寧に歯を磨くことが大切です。もし、歯の表面にこびりついた汚れが気になる場合は、歯科医院でのクリーニングをおすすめします。
定期的に検診を受けること
子どもの歯を健康に保つためには、毎日の歯磨きはもちろん、定期的な歯科検診が重要です。歯科検診では、歯科衛生士によるクリーニングで、家庭での歯磨きでは落としきれない歯垢や着色汚れを徹底的に除去し、歯の表面をツルツルにすることで、虫歯や歯周病の原因となる細菌の繁殖を防ぎます。また、歯の色が明るくなり、見た目の美しさもアップします。子どもの歯の健康を守るためには、歯科医院での定期的な検診がおすすめです。
黄色っぽい永久歯は基本的に心配いらない
生えたばかりの永久歯が黄色っぽく見えるのは、象牙質の色や目の錯覚によるものが原因であることがほとんどです。 しかし、エナメル質形成不全の場合は、経過観察や治療が必要になることがあります。
また、歯並びが悪いと歯磨きが不十分になりやすく、黄ばみや虫歯の原因となることもあります。 永久歯が生えたばかりの時期は、さまざまな不安を感じることも多いでしょう。少しでも気になる症状があれば、早めに歯科クリニックへ相談することをおすすめします。