[最終更新日]: 2025/02/27
日常生活で、子どもの発音が不明瞭で滑舌が悪いと感じたことはありませんか? 小さいときにはすべての音を明瞭に発音できなくても、一般的には5~6歳までに発音ができるようになります。その年齢になっても「サシスセソ」や「タチツテト」などの発音が難しい場合、歯並びや噛み合わせが原因かもしれません。 親御さんとしては非常に心配な事柄だと思いますので、以下に詳しく解説していきます。
滑舌の悪さと歯並びの関係は?
滑舌の悪さは歯並びと関係しています。特に受け口(反対咬合や下顎前突)の場合、下の前歯が上の前歯より前に出ているため、滑舌が悪くなることがあります。「サ行」や「タ行」の発音が不明瞭になりやすく、舌足らずに聞こえることが多いのが特徴です。
原因として、上顎が小さい、または下顎が大きいことが挙げられます。 その結果、歯並びが乱れる要因となることがあります。
噛み合わせの問題は、早めに矯正治療を始めることで改善される可能性があります。症状によっては、外科的な矯正治療が必要になることもあります。もし、子どもの滑舌が気になった場合には、矯正を専門とする歯科医に相談し、精密検査を受けて適切な治療方法を検討することが重要です。
子供の発音が悪くなる3つの原因
子どもの歯並びと発音には深い関係があります。噛み合わせや歯並びに問題がある「不正咬合」があると、発音が不明瞭になったり、滑舌がよくなかったりする症状が現れることがあります。一般的に幼児期には発音たどたどしくても、通常は5~6歳で発音ができるようになります。 もし、該当年齢になっても発音が悪い場合には、以下のような原因が隠れていることがあります。
歯並びに問題がある
歯並びが悪い(不正咬合)と、発音に問題が生じる可能性があります。
不正咬合の種類には、受け口(反対咬合:はんたいこうごう・下顎前突:かがくぜんとつ)、出っ歯(上顎前突:じょうがくぜんとつ)、すきっ歯(空隙歯列:くうげきしれつ)、開咬(かいこう・オープンバイト)などがあります。これらの噛み合わせの問題により、歯と歯の間に隙間ができ、息が漏れやすくなるため「サ行」や「タ行」の発音が不明瞭になることがあります。
例えば、受け口の場合は下の前歯が出ているため「サ行」を発音するのが難しくなり、出っ歯では上の前歯が前に出て唇が閉じにくいため「パ行」の発音が不明瞭になります。開咬では、歯が接触しないため「サ行」の発音が特に困難で、舌を歯と歯の間に差し込む癖があると、歯並びがさらに悪くなる可能性があるため注意が必要です。
舌の筋力不足
正常な舌の位置は、口を閉じているときに舌が上顎と上顎の前歯にくっついている状態です。しかし、 舌の筋力不足により舌が下がった「低位舌(ていいぜつ)」という状態になることがあります。低位舌になると、気道の上に舌がくるので、口呼吸が増えていつも口を開けている状態になります。その状態が長期間続くと、ドライマウスとなり、唾液が減るため、むし歯や歯周病になる可能性が高まります。また、舌の筋力が弱いため、滑舌も悪く特にタ行、ナ行などが発音しづらくなります。低位舌を解消するには、口腔筋機能療法(MFT)という、お口の周りの筋肉を鍛えて舌の位置を正常にする方法があります。
生まれた時から形に問題がある
先天的に唇や舌の形・大きさに異常がある場合にも発音に問題が出ることがあります。これを、「器官性構音障害(きかんせいこうおんしょうがい)」と言います。この障害では、発音に必要な唇や舌の形に問題があるため、正しく発音できません。同様に、鼻と喉の境目がうまく閉じず、空気が鼻へ漏れる「咽鼻腔閉鎖不全」の場合も、正しい発音が難しくなります。また、舌が小さい「小舌症」、上顎や口唇が避けている「唇顎口蓋裂」などでも発音に問題がでてきます。いずれの場合も、リハビリテーションや外科手術などの治療法が考えられます。
子供の不正咬合の治療法
歯並びが悪くなると、自然に治ることはなく、日常の癖によってさらに乱れる可能性があります。 治療法としては、歯科矯正治療や口周りの筋肉を鍛えるトレーニングがあります。
また、日常生活では、食事の際によく噛むことを意識し、唇で吸う動作や舌で舐める動作を取り入れることが大切です。 これにより口周りの筋肉が強化されます。ただし、歯並びや噛み合わせの改善には、歯科矯正が必要となる場合が多いため、専門医に相談することをおすすめします。
マウスピース矯正
乳歯から永久歯に生え変わる時期にマウスピース矯正を行うことで、顎の成長を活かしながら噛み合わせを改善し、歯並びを整えることができます。 この治療法は痛みが少なく、顎の成長を適切にコントロールできる点がメリットです。
また、噛み合わせと歯並びが改善されることで舌がスムーズに動きやすくなり、唇も自然に閉じられるため、発音の問題が解消される可能性があります。
口腔筋機能療法(MFT)
口腔筋機能療法(MFT)とは、口の周りの筋肉を鍛え舌の位置を正常にする治療方法です。矯正治療と並行して行われることもあります。このトレーニングにより、咀嚼や嚥下、発音などの口腔機能が改善されます。また、口呼吸も改善され、呼吸も楽になり、顎の位置も安定するため、歯並びの改善にもつながります。
滑舌が悪いときには不正咬合を疑う
ご紹介してきたように5歳から6歳くらいの年齢になっても、滑舌が悪かったり、発音に問題があったりする場合には、不正咬合が無いか確認してください。不正咬合は、発音だけではなく、口のなかの環境を悪化させ、容貌にも影響を与えます。なるべく早く矯正歯科クリニックに相談するようにしましょう。