[最終更新日]: 2024/12/16
歯科検診などで、子どもの歯が小さいと指摘された場合、歯科医師に詳しく話を聞き、適切な対応を検討する必要があります。歯が小さい症状は「矮小歯(わいしょうし)」と言って、比較的稀な症状で、将来的な噛み合わせや発音に影響を及ぼす可能性があります。多くは1本から2本で発症して、なりやすい歯は親知らずや、前から2番目の歯である側切歯です。矮小歯かも知れないと思ったら、子どもの歯の問題は専門的な知識が必要なケースもあるため、小児歯科への相談がおすすめです。小児歯科に相談をすれば、より専門的なアドバイスや治療計画を立ててくれます。本記事では、矮小歯の原因やお口の健康に及ぼす影響などについて解説しています。
歯が小さい原因とは?
歯が小さい原因については、いくつかの要因が考えられます。代表的なのは、「遺伝的なもの」「栄養の影響」「特定の健康状態によるもの」などです。以下に詳しく解説していきます。
遺伝的要因
歯が小さい原因として、まず、あげられるのは、遺伝的要素です。もし、家族でそのような症状があれば、気を付けて見ておく必要があります。また、出っ歯や叢生などの不正咬合(歯並び・噛み合わせが悪い状態)でも遺伝的な要素が見られることがあります。ただし、歯が小さいことや不正咬合も、原因が遺伝的要素だけではないケースが多くあります。
栄養の影響
子どもの歯の発育には、カルシウムやビタミンDなどの栄養素が不可欠です。これらの栄養素が不足すると、歯のサイズが小さくなったり、歯の健康状態が悪くなってしまう可能性があります。特に、カルシウムは骨と歯の主成分であり、ビタミンDはカルシウムの吸収を促進する働きがあるため、両者のバランスの取れた摂取が重要です。
特定の健康状態によるもの
一部の代謝疾患や全身性疾患は、子どもの歯の発育に悪影響を及ぼし、歯が通常よりも小さくなることがあります。これらの疾患は、歯の形成過程を阻害し、歯のサイズや形状に変化をもたらす可能性があるため、注意が必要です。
矮小歯の影響は?
矮小歯には円錐形をしている「円錐歯(えんすいし)」と蕾のような形状の「蕾状歯(らいじょうし)」があります。上顎の側切歯の矮小歯は円錐歯、親知らずの矮小歯は蕾状歯の形をしていることがほとんどです。側切歯が矮小歯の場合は円錐歯、親知らずが矮小歯の場合は蕾状歯の形をしていることがほとんどです。これらの矮小歯があるとわかって対策をしないでいても、その歯自体に何かリスクがあるわけではありません。しかし、お口のなかのバランスが崩れてしまい、さまざまな不具合を起こすことがあります。どのような不具合があるのか、以下にご紹介します。
歯並びと噛み合わせ
矮小歯は、普通の歯よりも小さいため、隣接する歯の移動を促し、歯並びの乱れや噛み合わせの悪化を引き起こす可能性があります。特に、奥歯の噛み合わせに影響が出ると、顎関節に過度な負担がかかり、顎関節症や頭痛、肩こりなどの原因となることがあります。また、左右の噛み合わせのバランスが崩れることで、顎の成長に影響を与え、顔つきにも変化が生じる可能性も考えられます。矮小歯は、単に見た目の問題だけでなく、全身的な健康に影響を与える可能性があるため、早期の歯科的な診断と治療が推奨されます。
食事(栄養素の不足)
上記のように噛み合わせに影響があった場合、子どもは硬い食品を避け、栄養バランスが偏る可能性があります。これは、成長期の子どもにとって必要な栄養素の摂取不足を招き、発育や健康に悪影響を及ぼす恐れがあります。また、噛む行為は顎の発育を促し、顔面の成長にも関与するため、噛み合わせの問題は、長期的なお口のなかの問題だけでなく、全身の健康にも影響を与える可能性があります。
心理的な発達
矮小歯による歯並びの悩みは、子どもの自信や対人関係に悪影響を及ぼし、心理的な発達を阻害する可能性があります。学校や友人との交流において、外見への意識が高まる時期には、その影響が顕著になることがあります。早期の治療により、子どもの心身の発達をサポートし、健やかな成長を促すことができます。
矮小歯は早期の対策が必要
矮小歯があることが判明したら、矯正治療や保存的な処置など、症状に合わせた治療計画を立てることで、歯並びや噛み合わせの問題を改善し、お口のなかの健康を守ることができます。早期の介入は、子どもの心身の発達にも良い影響を与え、自信を持って成長するためのサポートとなりますので、早めに歯科クリニックで相談してください。