[最終更新日]: 2024/12/16
子どもが笑顔になったときに、歯茎が過度に露出する症状が気になっている方もいると思います。この症状は、ガミースマイルと言い可愛い印象もありますが、成長とともに本人がコンプレックスに感じたり、歯並びや口腔衛生に悪影響を及ぼす可能性があります。この記事では、ガミースマイルの原因、放置した場合の原因や、そして矯正歯科治療による治療方法について、わかりやすく解説します。
笑うと歯ぐきが見える「ガミースマイル」とは?
ガミースマイルとは、笑顔を見せた際に上顎の歯茎が過度に露出する状態を指し、英語の「gum(歯茎)」に由来する言葉です。この状態は、遺伝的な要因が大きく影響すると考えられており、両親がガミースマイルの場合、子どもも同様の傾向を示す可能性が高まります。歯の形態や骨格といった遺伝的な要素に加え、歯並びや口周りの筋肉のバランスなども複合的に影響するため、個々のケースによって原因はさまざまです。一方、指しゃぶりや舌癖など、後天的な要因が原因となるケースもあり、早期の習慣改善によって予防できる可能性も期待できます。ガミースマイルは、見た目のコンプレックスに繋がるだけでなく、歯並びの悪化や発音への影響を招く可能性もあるため、気になる場合は歯科クリニックで相談してみましょう。
子どものガミースマイルは小児矯正で改善できるの?
子どものうちは可愛らしい印象のガミースマイルも、成長とともに見た目を気にされるようになり、自信の喪失やコミュニケーションの不安に繋がる可能性があります。ガミースマイルの原因は上記でご説明したようにさまざまですが、骨格的な問題がなければ、小児矯正のマウスピース矯正などにより、早期に改善できるケースもあります。特に、上顎の骨の発達が著しい場合などは、成長を利用した小児矯正が効果的です。大人になってからの矯正も可能ですが、小児期は顎骨や口周りの筋肉が柔軟なため、6歳から10歳前後から治療を始めれば、効果的な治療が期待できるでしょう。
子どもがガミー スマイルになる原因
子供がガミー スマイルになる原因にはさまざまな要因があります。先天的な骨格の問題や、癖がついてしまうことにより、お口の周りの筋肉や歯の生え方に影響が出ることでガミースマイルになることがあります。上記でご説明したように、ガミースマイルは小児矯正により治療することが可能ですが、原因によって治療方法も変わってきますので、注意が必要です。
歯茎の発達が過剰
ガミースマイルは、歯茎の大きさだけでなく、歯並びや骨格など、複数の要因が複雑に絡み合って発生するケースが一般的です。歯茎が過剰に発達している場合、歯茎の位置が下がり、笑顔を見せる度に歯茎が過度に露出するようになります。このような状態は、歯茎の大きさを調整する治療だけでなく、歯並びの矯正や骨格的な問題へのアプローチが必要となる場合があります。小児期であれば、顎の骨が成長している時期であるため、マウスピース矯正などの非抜歯治療で改善できる可能性も高まります。しかし、大人になってからの治療では、外科手術が必要になるケースもあり、治療期間や費用が大きく変わってくる可能性があるため、早期の診断と治療が望ましいでしょう。
上唇挙筋が過剰に発達している
口周りの筋肉、特に上唇の働きもガミースマイルの原因として挙げられます。上唇を上げる力が過度に強い場合や、上唇が薄い場合など、唇の形態や筋肉のバランスがガミースマイルを引き起こすことがあります。例えば、上唇を上げる筋肉である上唇挙筋が過剰に発達すると、笑うたびに唇が大きく引き上げられ、歯茎が露出する状態になります。また、上唇が薄い場合も、わずかに口を開けるだけで歯茎が見えてしまうことがあります。これらの場合は、小児矯正歯科での口腔筋機能療法(OMFT)などにより、口周りの筋肉のバランスを整えることで、ガミースマイルを改善できる可能性があります。
歯の生え方によるもの
歯の生え方が影響している場合もあります。上顎前突や過蓋咬合といった骨格的な要因は、ガミースマイルを引き起こす主な原因の一つです。上顎前突では、上顎の骨が前に突き出ているため、歯と歯茎が押し出され、上唇が持ち上げられて歯茎が露出するようになります。過蓋咬合では、下の歯が上の歯に深く覆いかぶさる状態となり、噛み合わせのバランスが崩れることで、歯と歯茎の位置が変化し、ガミースマイルにつながる可能性があります。また、歯が本来の位置よりも下に生えていたり、上顎の骨が縦に長かったりする場合も、歯と歯茎の露出量が増え、ガミースマイルを引き起こすことがあります。
歯の大きさによるもの
永久歯が生えてこずに乳歯が残る萌出不全(ほうしゅつふぜん)や、歯が小さい矮小歯(わいしょうし)では、歯の大きさが平均よりも小さいため、歯茎が相対的に多く露出してしまい、ガミースマイルの原因となることがあります。これらの場合は、歯の大きさを補う治療や、歯茎の位置を調整する治療によって、よりバランスの取れた歯並びを取り戻すことができます。
骨格の問題
上顎の骨が下顎よりも大きく発達すると、上の前歯を支える骨が厚くなるため、歯茎が過度に露出してガミースマイルの原因となります。この骨格的な問題は、成長期にヘッドギアなどの矯正治療を行うことで改善できる可能性がありますが、大人になってからでは外科手術が必要になる場合もあります。小児期の早期の治療が健康な口腔機能の維持に繋がります。
子どものガミースマイルの矯正方法は?
小児矯正は、成長期の顎の骨の発育を利用して、歯並びだけでなく、骨格そのものを整えることができるため、ガミースマイルの原因となる骨格的な問題も根本から改善できる可能性が高いです。一方、成人矯正では、歯を動かす治療が中心となり、骨格的な問題に対しては外科手術が必要となる場合もあります。小児期での治療を選ぶことで、より効果的にガミースマイルを改善できるでしょう。
マウスピース矯正
上の歯が下の歯に深くかぶさる過蓋咬合は、歯列矯正で改善できます。歯並びや噛み合わせの状態、患者さんの年齢や生活習慣に合わせてマウスピース矯正などの治療法が選択されます。特に、歯の生え方に問題がある場合は、マウスピース矯正が効果的なことがあります。
MFT(口腔筋機能療法)
子供のガミースマイルは、遺伝的な要因に加え、指しゃぶりの癖や舌の悪い癖など、後天的な要因も大きく関わっています。MFTは、これらの悪い癖を改善し、口周りの筋肉を正しい位置に導くことで、骨格の成長を促し、ガミースマイルの改善に効果が期待できる治療法です。
ヘッドギア
小児用のヘッドギアは、上顎の骨の成長を抑制し、出っ歯などの不正咬合を改善する矯正装置です。頭部に固定した装置から力を加え、上顎を後方に引っ張ることで、上下の顎のバランスを整えます。成長期の子どもに多く用いられ、顎の骨の成長をコントロールすることで、適切な歯並びとへと導きます。
気になる症状があれば相談を
子供のガミースマイルは、自然に治ることはなく、早めの治療が大切です。小児矯正では、歯並びだけでなく、顎の骨の成長もコントロールすることで、根本的な改善が期待できます。気になる症状があれば、まずは、歯科クリニックに相談してください。