[最終更新日]: 2025/03/14
個人差はあるものの、ほとんどの子供は、その成長過程で指しゃぶりを行います。モノに形があることを認識したり、気持ちをリラックスさせたりなど、指しゃぶりには大事な意味があるので、親御さんは無理にやめさせる必要はありません。
ただし、3歳になっても長時間の指しゃぶりをしている場合には注意が必要です。顎の成長に悪影響を及ぼし、歯並びが悪くなる恐れがあるからです。
当ページでは、子供の指しゃぶりについて詳しく解説しています。
なぜ子供は指しゃぶりをするのか?
一般的に子供に見られる指しゃぶりは、モノの感覚を学んだり形を覚えたりする過程で現れる一過性の行動です。たとえば、空腹時や眠いとき、気持ちをリラックスさせたいときなどに、よく見られます。練習や遊びの類と考え、親御さんは優しく見守ってあげましょう。
子供が指しゃぶりをする原因は?
子供の指しゃぶりは一般的な現象ですが、一定の年齢を過ぎても指しゃぶりから卒業できない場合、歯並びに影響が及ぶ恐れがあります。
子供の年齢に応じて指しゃぶりを適切に理解しておきましょう。
新生児~生後2か月
新生児から生後2か月くらいまでに見られる指しゃぶりは、その大半が遊びや練習が目的です。
生後間もない赤ちゃんは、特に親指を口に入れる傾向があります。親指を口に入れることで、モノには形があることを知り、その形を口で確かめることに楽しさを感じます。
生後3ヶ月~3歳
生後3か月から3歳までの間に見られる指しゃぶりは、お腹がすいたときや眠いとき、気持ちに不安が生じたときなど、気持ちの安定を図るために行われます。
この時期までの指しゃぶりは、多くの子供に見られる現象なので、親御さんは過度に神経質になる必要はありません。
3歳~5歳
3歳以降に見られる指しゃぶりは、いわばストレス発散の一種。一人で退屈なときや寂しいときなど、子供なりにストレスがたまってきます。このストレスを発散して心の安定を目指すため、無意識に赤ちゃんの頃から続く指しゃぶりを行ってしまうのです。
何歳までなら指しゃぶりしていいの?
指しゃぶりを始めるタイミングや、やめるタイミングには個人差があります。おおむね3歳までの指しゃぶりであれば、親御さんは温かい目で見守りましょう。
一方で、3歳を過ぎても連日長時間にわたる指しゃぶりが続く場合、顎の骨格形成に影響を及ぼす恐れがあります。そのため、小児歯科などで適切な対応を受けることをおすすめします。
指しゃぶりに関連し、おしゃぶりのアイテムについても正しく理解しておきましょう。
おしゃぶりアイテムは、赤ちゃんにとって遊びの道具でもあり、気持ちを落ち着かせるためのツールでもあります。口周りの筋肉の発達につながったり、顎の成長を促進させたりする効果も期待できることから、子供の興味に応じて適切に使用させて構いません。
ただし、指しゃぶりと同様、長時間にわたるおしゃぶりアイテムの使用は、歯並びに悪影響を及ぼす恐れがある点に注意が必要です。また、おしゃぶりアイテムを使い続けることで、言葉を発する練習の妨げになることもあります。そのため、少なくとも1歳を過ぎたら、おしゃぶりの使用を控えることをおすすめします。
歯並びへの影響は?
3歳を過ぎても長時間にわたる指しゃぶりをするクセが抜けない場合、次のような歯並びになるリスクがあります。
- 出っ歯
上の前歯が前方へ押し出された状態
- 開咬
奥歯で噛んだとき、前歯が噛み合わない状態
- 狭窄歯列弓(きょうさくしれつきゅう)
上顎の横幅が狭くなる状態
- 叢生
狭窄歯列弓(きょうさくしれつきゅう)などの影響により、歯並びガタガタになる状態
指しゃぶりの影響で歯並びが悪くなったとしても、矯正治療を受けることで改善させることは可能です。
ただし、矯正治療には時間もコストもかかる上、子供によってはストレスとなる恐れもあります。指しゃぶりをやめて解決できるならば、それに越したことはありません。
心身への影響は?
指しゃぶりの影響で歯並びが悪くなった場合、子供は、自分の歯並びやその影響による顔貌の変化に対し、コンプレックスを抱く可能性があります。子供によっては、そのコンプレックスが性格形成に影響を与える恐れがあるかもしれません。
また、歯並びの影響で噛み合わせが悪くなると、消化不良につながる恐れもあります。
中には、発音(サ行、タ行、ナ行)にも影響が出る子供も見られます。
もとより、指には無数の細菌やウイルスが付着しているため、指しゃぶりを直接的な原因として体調不良を引き起こす恐れもあるでしょう。指に吸いダコが生じ、皮膚が化膿してしまうこともあります。
子供の指しゃぶりを止めさせる工夫は?
3歳を過ぎて適度にコミュニケーションを取れるようになった子供に対し、親御さんが「指しゃぶりをやめなさい」と強く伝えても、子供にはストレスとなり、逆にやめられなくなる可能性があります。
指しゃぶりを自然にやめさせるためには、ストレスを与えるような方法ではなく、無理のないペースで段階的にやめさせることが大切です。
まず、子供が指しゃぶりをする原因を考えてみることが第一歩。不安が原因で指しゃぶりをしているようならば、スキンシップの回数を増やしてみると良いでしょう。退屈さが原因で指しゃぶりをしているようならば、おもちゃを使って親御さんも一緒に遊んでみてはいかがでしょうか。
いずれの方法でも、一度の工夫だけで指しゃぶりをやめられるわけではありません。長い目で見守りつつ、子供が指しゃぶりを卒業するまで根気よく付き合いましょう。
3歳を過ぎてもやめない場合には小児歯科へ相談を
子供の成長過程において、指しゃぶりは大事な意味を持つ行為です。無理にやめさせる必要はありません。
ただし、3歳を過ぎても長時間にわたる指しゃぶりが習慣化している場合は、当ページで紹介した方法を参考にしながら、少しずつやめられるよう促しましょう。
それでも指しゃぶりが続く場合は、不正咬合を予防するため、早めに小児歯科へ相談することをおすすめします。