[最終更新日]: 2025/01/14
子供の歯並びに影響するよくない癖とは、指しゃぶりや口呼吸など、口周りの悪い癖のことです。これらの癖は、乳幼児期に口腔機能を獲得する過程で身についてしまい、歯並びや顎の発達に大きな影響を与えます。とくに、上顎の骨が急速に成長する6歳頃までは、口腔悪習癖の影響を受けやすく、歯並びや顎の発育に悪影響を及ぼす可能性があります。赤ちゃん期の癖も、将来の歯並びに影響を与えることがあるため、早期の注意が重要です。
歯並びに影響するよくない癖
歯科矯正治療では器具により力をかけ続けることで歯を動かしていきます。それと同様に子供の歯は舌や筋肉などの力がかけ続けられることによりバランスを保っています。そこに、バランスを崩すような(よくない癖の)力が加わることで、歯並びが悪くなってしまうのです。具体的な癖の種類を解説していきます。
指しゃぶり
指しゃぶりは、乳児期にみられる自然な行動ですが、4歳以降も続く場合は、歯並びに悪影響を及ぼす可能性があります。指しゃぶりは、歯が前に押し出され開咬やすきっ歯、出っ歯といった歯並びの乱れを引き起こすことがあります。また、爪や下唇を噛む癖も、同じように悪影響を及ぼすため注意が必要です。3歳頃までに自然に指しゃぶりをやめる子どもが多いですが、4歳以降も続く場合は、歯科医に相談し、歯並びへの影響や改善方法について相談することをおすすめします。
口呼吸
口呼吸は、歯並びの乱れを引き起こす大きな要因の一つです。通常、舌は上顎に密着し、歯を内側から支えることで正しい歯並びを保っています。しかし、口呼吸をしていると舌が下がり、この機能が弱まります。同時に、口周りの筋肉も衰え、唇や頬による歯への力がバランスを崩します。特に成長期の子どもは、上顎の骨が形成される重要な時期であり、口呼吸が続くと上顎の成長が妨げられ、歯列が狭くなることで、出っ歯や乱杭歯などの歯並びの乱れが生じる可能性が高くなります。
舌を出す
舌を前に出す癖や、舌で歯を押す癖は、歯並びに悪影響を与える「舌癖(ぜつへき)」と呼ばれます。この癖によって歯が前方に押され続けると、上顎前突(出っ歯)や下顎前突(受け口)、開咬などの歯並びの乱れを引き起こす可能性があります。とくに成長期の子どもは、顎の骨が形成される重要な時期であるため、舌癖があると歯並びに大きな影響を与えることがあります。
片側だけで噛む
片方の歯でばかり噛む「偏咀嚼(へんそしゃく)」は、顎の歪みを招き、歯並びの悪化、顔や体の歪み、さらには頭痛や肩こりなどの不定愁訴を引き起こす可能性があります。偏咀嚼が続くと、歯の真ん中がずれたり、片側の歯だけが虫歯になりやすくなったり、顔がゆがんだりするといった症状が現れることがあります。偏咀嚼は、歯並びだけではなく、全身の健康に悪影響を及ぼす可能性があるため、早めの改善が大切です。
唇や爪を噛む
爪を噛む癖は、歯や歯茎に強い力がかかり、歯の変形や歯並びの乱れを引き起こす可能性があります。特に、前歯に力が集中することで、出っ歯や受け口といった歯並びの問題につながることがあります。また、下唇を噛む癖があると、上の前歯が前に倒れてしまい下の前歯が内側に倒れやすくなるため「上顎前突(出っ歯)」の原因になり、一方、上唇を噛む癖は「下顎前突(受け口)」の原因になります。
やわらかいものしか食べない
やわらかい食べ物ばかりを食べたり、よく噛まずに飲み込む習慣がある場合は、口周りの筋肉の発達が不十分になり顎の成長が妨げられ、歯並びが悪くなる可能性があります。硬い食べ物を噛むと顎の様々な筋肉が協調して働き、咀嚼や嚥下に関わる筋肉も発達します。しかし、やわらかい食べ物ばかり食べていると、顎の筋肉が十分に鍛えられません。そのため、顎が小さいまま成長してしまい、永久歯が生えるスペースが足りなくなり歯が並ぶスペースがないために乱杭歯などの歯並びの乱れを引き起こす原因となります。
頬杖をつく
頬杖をつく習慣は、歯並びだけではなく、子どもの成長に悪影響を及ぼす可能性のある深刻な問題です。長時間頬杖をつくと、顔や顎の左右バランスが崩れ、歯並びや顎の成長に悪影響を与え、顎関節症のリスクも高まります。また、姿勢の悪化を招き、背骨の歪みや全身のバランスの崩れにつながる可能性もあります。子どもの頃から良い姿勢を心掛けることが、将来の健康な成長に繋がっていきます。
うつ伏せ・横向きで寝る
うつ伏せ・横向きで寝ることは、顔面に大きな力がかかるため、顎や顔の歪み、口呼吸を引き起こしやすく、歯並びの悪化にも繋がります。とくに成長期の子どもにとって、顎の骨が形成される重要な時期であり、うつぶせ寝が習慣化すると、前歯が押されて変形したり、口呼吸による出っ歯になる可能性があります。また、顎の骨や歯列自体が変形するなど、様々な悪影響が懸念されます。長時間のうつぶせ寝は、歯並びだけではなく、顔全体のバランスにも悪影響を与える可能性があるため、注意が必要です。
子供がよくない癖をしていたらどうすればいい?
3歳頃までの指しゃぶりは自然な行為ですが、小学生になっても続く場合は、心の不安や寂しさなどが原因の可能性があります。叱るのではなく、愛情を持って接し、少しずつ自分でやめることができるよう促すことが大切です。舌の癖も同様で、歯並びや顎の成長に悪影響を及ぼします。自分でやめられない場合は、歯科クリニックに相談することをおすすめします。必要に応じて専門のトレーニングや改善用器具などのサポートをしてもらえます。
子供の口に関する癖は早期に対策を
ご紹介してきたように、子どもの歯並びに影響するよくない癖は色々とありますが、重要なことは、癖に気づいたらすぐに対策することです。癖をやめさせ、それでも改善しない場合は、歯科クリニックに相談してみてください。歯並びが悪くなる前に早めの対策をすることが大切です。